2015年 12月 01日
家づくりのプロのための和風建具ワークショップ
11月14日の新宿住まいのオーダーメード館403さんでのワークショップは、
「家づくりのプロの為の和風建具」 でした。
建築士さんと建具屋さん。
お二人とも女性の方が参加して下さいました。
今回は、参加の皆さんからの質問を中心に進めました。
回答は弊社社長です。
Q1 ケヤキが手元にあるのですが、狂いが心配です
A1 ケヤキは狂いやすい材料ですね。
乾燥させて寝かせばいいかというと、そういう訳でもなく、何年寝かせても
暴れるものは一鉋かければすぐ暴れます。
ケヤキで建具を作る時は、
ホゾを必ず通すようにします。(途中でとめずにぬききる)
そして、割りを入れてクサビを打ち込みます。
ケヤキが動いてすき間が出てきたら、そこにノミを入れて、クサビを打ち直します。
そうるすとパンとくっつきます。
また、ねじれどめにホゾをこのように加工したりします。(下の絵)
ケヤキに限ったことではないのですが、
建具の採寸の時に寸法だけではなく、日当たりや外部なら庇や屋根が
どの程度かかっているかという所も注意して見るようにしています。
この建具は、日当たりの良いところにたって反りやすいので、
木目の素直な所を使おうと木取りの時に判断することができます。
Q2 防音ドアを作ろうと思っているのですが。
Q2 私も本格的な防音ドアは作ったことがないのですが・・・・
芯材を組んだら、その中に吸音材としてスタイロホームを入れて、その上にシージングボード、
さらに防音マットを重ねています。
建具枠も一体で作ると効果が上がります。
その際、戸当たりを大きめにしてパッキンをつけます。
取手は、ぐっとしまるグレモン錠を使っています。
Q3 吊戸で引き込み戸にすると、下がブラブラして安定しないのですが何か解決策はありますか?
A3 吊戸は床がフラットになりすっきりする一方で、安定性がないのが難点ですね。
今は磁石で建具がくるとぴょこんとでて、ぶらつきをとめる金物も出ているようです。
普通の吊戸はブラブラします。
だから、風が吹くところや、人が手をつきやすいところなんかは避けた方が安心かと思います。
吊戸は、動くために上下のすき間もどうしてもあけなくてはならず、そこも気になる点です。
すき間が少なければ少ないほど、見栄えは良いのですが、床や天井が少し下がったりすると
つっかえやすくなるわけで、後々毎日使うお客さんが苦労することになるので、
私は吊戸にするなら、やっぱりすき間はちゃんとあけた方が良いのかなと思います。
Q4 茶室の建具の敷居・鴨井のミゾの大きさは?
A4 茶室や書院などは4/5のミゾが良く使われます。
また、個人的に欄間も4/5のミゾが好きです。
4/5 とは、12㎜の凸に15㎜の凹です。
しゃくってあるミゾの幅が細い方が、見上げた時、品が良いような気がします。
(一般的に、ミゾは7分で≒21㎜です)
Q5 建具の部材の大きさをいくつにしようか迷うのですが。
A5 私が弟子の頃、余っている材料を色々な大きさで削って並べていました。
やっぱり原寸大で実物を見ると実感としてよくわかります。
図面の線上ではなかなかピンとこないです。
シンプルな障子ほど、線が際立つので、そんな時は削って考えていました。
Q6 建具のしゃくってある方と伸びている方、どちら向きにすればよいかいつも悩みます。
A6 これは、大工さんやそのお宅のやり方で色々です。
大事なのはそのやり方で統一する事だと思います。
私は、玄関側に伸びている方を向けると習いました。
これが、床の間側に伸びている方を向ける方もいます。
また、部屋と廊下の間の建具の時に、どちらにしゃくりをもってくるか?
も色々です。
私もそうですがよく見るのは、部屋側にしゃくりを持ってきて廊下側がのびている。
逆に、部屋側からしゃくりが見えるのは美しくないと、廊下側にしゃくりをもってくる人もいます。
どっちが良いという事でないと思います。