2014年 09月 25日
格子戸⑥ 厚いもの・反りの対策
4、建具の厚さを40mmとすると高くなる理由は?
関東は33mmの材料が流通している。4・7の溝で、30mmの建具。(1寸)
新潟は36㎜の材料。5・7の溝で、33mmの建具。(1寸1分)
地域により、家のつくり、鴨居、敷居の溝の寸法が違うことによります。
特注になると45㎜に製材。仕上がりで40mmです。
なければ引いてもらいます。
これは、たまたま乾燥材があれば、引いてもらえるけど、
なければ、納期がかかります。
36mm以上は、納期がかかり、特注として、高くなるとして、早めに準備した
方が良いと思います。
5、背の高い格子戸は反りやすいですが、どうしたらいいですか?
一番は、材木の見る目。
100%絶対というのはないけど、だいたい、見ればわかります。
それでも、背が高ければ高いほど、狂いやすい。
あてのところは、木が硬い。まがっている。
あて木は、何年たっても狂いますね。
いくら選んでいても、自然のものなので、どう変わるかわからない。
でも、自然のものだからと逃げないで、精一杯選ぶことが大事なことだと思います。
玄関は、片方だけ日があたるので、日当たりがよいところも気をつけなくてはいけないです。
そんなところは、素直な目の木がいいです。
反るものという考えで、枠も作ってもらうと助かります。
背の高いものは、建具のすきまを、通常3mmのところを5mmくらいにしてもらうと、助かります。いい仕事だからと、すきまを少なくすると、後々お客さんが困ります。完成した時は、きれいだけど、すぐ、戸があたって使いづらくなります。
お客さんにも、無垢材は、反ることがあることを、一言伝えることも大事です。
また、上下の横桟が1本づつと、桟がとんでいるデザインは危険です。
特にウォールナットのような狂いやすい材料で、背の高い格子戸をつくるときは、デザインと、すきまを考えることが大事かと思います。
2014年 09月 25日
格子戸⑤ 防犯・汚れについて・微調整は?
(質疑応答)
1、玄関に関して、防火はどうしていますか?
防火は特別な分野で、専門外でして、すみません。
防犯について、お話します。
防犯の時は、硝子を防犯硝子にします。
その時、合わせ硝子で建具の重量が重くなります。
戸車やレールもあわせて重量に耐えるようにするのを忘れがちですが、
とても大事です。摩耗して、すぐに動きが悪くなってしまいます。
また、木は、鋸で切ろうと思えば切れるので、ぱっと見た目、泥棒が諦める工夫が大事かと思います。
鍵を複数つけたり、防犯性の高い堀商店のものをつけたりしたりしています。
2、無垢の木は、汚れが気になりますが・・
木はどんな材料を使っても、手入れが大事です。
人間でも、手入れすることで、まるで変わってきますね。
亜麻仁油などの油っけを与えること。
最初に納めるときと、なるべく近いうち、1年目くらいにもう1度に塗ったほうがいいですね。膜がだんだんできてきます。
最初は、生地より、油っけがあった方が汚れがつきにくくなります。
3、先ほど、きつく組むという話がでましたが、その時の微調整はどうやってやりますか?
機械でとっても、手でとっても、欠き込み部分を微妙にせまくします。
クデは、1つ1つではなくて、まとめて欠きます。まとめて墨をして、胴付鋸といううすい刃の鋸でとります。
片方だけではなくて、両方で均等にとります。
強さ確かめながら、やります。
機械はくできりです。家具屋さんなら、定規をつくって 横切りでよいかと。昇降盤でもいいです。あれば、ラジアル。
ヒバなら、少し強めにしても入りますが、ナラやウォールナットのような硬い材料は、固く組むと組めなくなってしまう。材木によって加減します。
2014年 09月 25日
格子戸④ 垢ぬけるには?建具図について
(格子戸が垢ぬけるコツは?)
隅々、穴をほって、桟がキチンとそこに入っているか?
取り合いがいかに、平らに納まっているか?
全体的に見れば、同じ形になっているけど、そうゆうところをきちんとすると垢ぬけると思います。
隅々を見ているところ
(建具図について・・・)
この模型のように、面をつけてないで、平らに納めて欲しいときもある。
建具図を書くときに、同じ姿図でも、面で全然違う。
前回はそれでよくても、今回の家は、こうじゃなかったという時もある。
昔の建築士さんは、原寸で書いたけど、そこまでしなくてはいけないのか?
どう伝えたらよいのか?
わからない中で無理に図面を書くと、かえって、職人は混乱してしまう。
何年か前、ベトナムのお店の格子戸を作りましたが、ベトナムの路地裏にあるようなイメージで、きれいに作らないでくれという要望があった。
あれは、かえって難しかったですね。
面は、糸面でさっと落すものや、1分ほどの
角面にして、大きく落すこともある。
見積りの段階で、建具屋の勝手な思い込みで、几帳面をとったものにして、それで金額が高くなってしまうことがあります。
予算や、作りたい家の雰囲気を、伝えてもらえたら、こちらも色々対応できる。
良かれと思って、几帳面という手間のかかる仕事をしたのに、不要な時もある。
そこは、図面ではなくても、作る前にコミュニケーションをとって、色々話をして、お互いわかりあえればいいと思う。
建具は特に、工場でつくるので、設計と職人が合う機会が少ない。
重要でないところに、力を入れて作ってくれて、そこじゃないんだけど・・・と思うこともある。職人さんは、図面を忠実に再現しようとしてくれる。
やっぱりコミュニケーションが大事だと思う。
2014年 09月 25日
格子戸③ 硝子の入れ方
(硝子はどう入れるのか?)
基本的に、格子戸は片面格子です。
硝子をとめる桟のホゾは、下を深くして、上を浅くする。そうやって、桟を外せるようにしてあります。
その桟にも硝子しゃくりをします。
縦桟の本数は、基本的に奇数です。硝子の継ぎ目が真ん中にくるようにです。
両面格子の時は、上から硝子を落とします。
(硝子が、ガタガタいわないようにするには・・・・)
4mmの硝子を入れるのに、4㎜のミゾをついても入らない。どうしても余裕が必要になります。
裏にシリコンかコーキングをうてば、ガタつきはとまりますが、それでは見栄えがわるいとなれば、上から溝の中に1本桟を入れて、遊びをとめます。
厚みに関しては、どうしてもガタガタいいます。
両面格子にした場合は、ガタつきは結構とまります。
桟をくっついてしまうくらいに、きつく組みます。
きつく組むと、骨は曲がってきますから、それを利用して、硝子のガタつきをとめます。
くでをきるときに、ちょっと強くきつめにして組みます。
普通に組むと、桟は広がりやすいので、きつめに組むのは有効かと思います。
2014年 09月 25日
格子戸② 作り方・面
次に、格子戸の作り方。
格子戸の模型を使っての説明。
模型よりも、実際はきつく作ります。
手でぐっと押して入るくらい。
面は、几帳面です。
格子戸で一番きれいですっきり品よく見えるのが几帳面かなと思います。
(几帳面をとるには、はどんな道具を使いますか?)
几帳面用の鉋を自分で作ります。
際鉋に似ていますが、深くいかないような定規をつくります。
機械でとって、仕上げは鉋で仕上げます。
機械は、微妙に段差がでて、電気の光でみると段差がわかります。
面取りと図面にかくと、職人さんがえ~っといいます。
面はそこだけではなくて、横もからみがでてくるので、大変です。
図面で思い出しましたが、きつね格子を、図面でもらったことがあります。実は、きつね格子の作り方は、その時わかりませんでしたけど、面白くないので、試行錯誤して、知り合いの建具屋さんに聞いたりして、なんとかつくりました。
この年になっても、わからない事だらけですので、いい機会でした。
ねじり組みは、障子や襖の下地であれば、細いものでしなって簡単にできますけど、30mmと大きな部材になると、知らないと、組めないのです。
やり方を知っていれば、どんなに厚くても組めます。
きつね格子は、牢屋の戸で、秘伝の組み方と言われていますね。
2014年 09月 25日
ワークショップ 格子戸① 材料について
第2回の簡素建具ワークショップ は、『格子戸』 でした。
建具、家具の職人さん、建築士さん、自然素材を扱うお店の方、学生さんと8名のご参加。
遠いところから来て下さった方もいらっしゃって、ありがとうございました。
ワークショップの様子を、100%自然素材主義の眞次さんが記事にして下さいました。
とても素敵な記事で、社長も「こんなにいいこと言ったかな?いいね~。」と感激していました。ありがとうございました!
http://www.100percent.co.jp/lab/report_view/436
以下、ワークショップのやりとりの記録です。
まずは、 格子戸に使う材料の話。
4種類の材料を当ててみよう! と、匂いをかいだり、色や木目を見たりして、
予想しました。
答えは、
米ヒバ
青森ヒバ
スプルス
木曽ヒノキ の4種類でした。
特に、玄関に使う時、雨風があたるので、水に強い木材の米ヒバ、青森ヒバ・木曽ヒノキを使います。強度もあり、腐れにくい材料です。
ヒノキは色々な所でとれますが、良いものとしては、木曽のヒノキを使います。
台湾ヒノキもあります。これは、日本のヒノキよりも匂いが強いのが特徴です。
青森ヒバは、殺菌効果があります。お寿司屋さんのまな板を頼まれるときは、青森ヒバを使います。
2014年 09月 06日
ふるさとしばた職人まつり
今年も、『ふるさとしばた職人まつり』 開催します(^O^)/
9月27日・28日(土・日)
10時から16時
地域交流センター きやり館とあおり館にて
参加の職人についてはこちら
http://shibata-syokunin.jimdo.com/?logout=1
ポスターの職の字は、耳ではなく、身 です。
むかし額面纏を作ることになった職人町の人たちが
家老に書いていただいたものだそうです。
職人は仕事を耳で覚えるのではなく、
身で覚えるもの という意味です。
今月号の街角コンパスは、新発田の職人特集です!