<第7回> 「手間」の美

6月を前に、工場では簾戸の生産が真っ盛りです。

今回は、簾戸の材料である『萩』についてご紹介します。

萩は、秋に小さな紫の花が咲き、わさっと枝が束になっているあの萩です。

秋の七草で、萩(はぎ)・薄(すすき)・桔梗(ききょう)撫子(なでしこ)
・葛(くず)・藤袴(ふじばかま)・女朗花(おみなえし)

すだれの材料として、あの何とも言えない渋い赤が、茶室に好まれて使われます。

日本人が心魅かれるあの萩の美しさは、気の遠くなるような手間から生まれます。

すだれ用に渡良瀬川流域で育てたものを、刈り取り、太さを選別して束にし、1年間天井に上げて寝かせます。

それを1本1本、コークスの熱い穴に通してなめします。
なめす事で、曲がった茎がまっすぐになり、あの何ともいえない良い色が出ます。ここまでが、萩を育てる人の仕事。

実は、この仕事をする方は、今では、2人しかいません。
高齢化と重労働と、安価な外国品の輸入などの理由で後継者もいないようです。
さらに、昨年の萩は地震の影響で収穫出来なかったとの事。心配な状況です。

この萩を、すだれ屋さんが購入し、何千本の中から、さらに太さを細かく選別します。
編む時は、萩の太さにあわせて撚った糸を使い、編み機の重りを調整します。

それを建具屋が、簾戸に入れます。

すだれがはまる木枠より、気持ち短めにすだれを作り、引っ張るようにして小さな釘でとめます。
この引っ張る加減が微妙で、弱いとたるんでしまい格好悪くなるし、強いと糸に無理がかかり、
糸が消耗し、長持ちしない簾戸になってしまいます。

そんな手間をかけた萩の簾戸は、迫力さえ感じます。

以前、新聞で『手間の美』という文字を見かけました。まさにそうだ、と思い今回のタイトルにしてみました。


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by takahashi-tategu | 2017-02-08 10:19 | 口伝 ~代々伝わる建具職人の心~ | Comments(0)